
『もし、占筮で使うなら』
定番となっている訳註書。卦・爻辞および十翼の全てについて原文+読み下し文が収められ、解説がなされ、本編は非常に充実した内容となっている。
一番には、他説異解に実に豊富な文献を引用して検討を加えて、一々 出典・人物を挙げている点が光る。註釈は基本的に宋代の朱 熹の「周易本義」をメインに、程 頤の「伊川易伝」で補っている。語源解説には最古の部首別漢字字典「説文解字」などに拠っており、時代的に白川 静氏は未カバー。辞・彖伝・象伝は全文をチェックしたが、説や字の採り方に一部に疑問もある。
解釈は、辞の字句の構造(陰陽・柔剛・位・中・正・応・・・)やそれが書かれることの意味づけなどが占めている。だから、易の思想哲学を味わおうという人にはあまり向きではない。
また、この本を占筮に使う場合、それぞれの卦・爻辞の解説にある「占ってこの爻を得たら」以下の文言をそのまま問いの答えとしようとすると、マトを獲ないことが多いだろう。否応なく辞に忠実な判断になっている。
本編の辞・爻の構成は、卦・・・【山風蠱】であれば「腐敗、腐敗を建て直す事業」とする象意、「彖 伝」・「象 伝」の辞ともに原文+書き下し文、解説。爻・・・「象 伝」の辞ともに原文+書き下し文、解説。他の十翼・・・原文+書き下し文、解説。書き下し文は江戸時代からの慣用に従う。解釈に諸説ある部分では異説を列記。
意図があるのか、悔/悔い、志/志し、誉/誉れ、羸(クル)む/羸しむ、望のモチ/ボウなど、辞のふりがながまちまち。
十翼は巻末に纏められ、「文言伝」は【乾爲天】・【坤爲地】の項目で扱っている。
前段には、易とは?、易の基本概念、易の歴史、筮法、術語などが30ページ程度に簡潔に纏められている。